ドイツではオートモーティブ市場で強く信頼されるブランド。大手ドイツ自動車メーカーの特殊工具や指定工具としても使用されています。ドイツの高品質な鉄を使い、高度な鍛造技術を駆使して仕上げられたレンチやヘックスソケットなどが日本では注目されてきましたが、最近はラインアップも増え、ユニークな製品も取り揃えています。
text:高野倉匡人(ファクトリーギア代表)
Contents
ブランド・ロゴマーク
会社名・呼称・略称
ハゼット
国(ブランドのある国)
ドイツ
主要工場
ドイツ レムシャイド
HAZET 工場レポート
概要
創業は1868年。ハゼットの工場が位置するドイツのレムシャイドという街は、良質な石炭が採掘され、鉄の産地として一大工業地域となった歴史を持つルール地区の南に位置しています。隣接する街は北に工具メーカーが集積するヴッパタール。西には刃物で有名なゾーリンゲンがあり、良質な原料を入手しやすい環境、隣接するのは製造技術を共有出来る多くの鉄関連の製造工場。まさにドイツのモノ作りの中心に位置する工具メーカーです。
歴史(エピソード)
本国ドイツでのハゼットの工具メーカーとしてもブランドイメージは、オートモーティブ系工具。世界に誇るドイツ車の特殊工具をサポートしていることもあり、自動車メカニックからの信頼は厚く、休日にニュルブルクリンクに集まるプライベーターたちのピットでも、一見してこだわり派と思われるチームのメカニックが手にする工具はハゼットのシェアが非常に高い、レース現場がよく似合う工具ブランドです。
日本では、ピカピカのアメリカ工具と比較して渋い梨地のフィニッシュということもあり、爆発的な人気はないものの、ドイツモノらしい古典的なこだわりが感じられる工具ととしてコアなファンを持つブランドです。例えば、ボルト・ナットを面でとらえる面接触と呼ばれるボックス部のデザインが世界の工具の主流になってからも、できる限りキツい公差を設定し、ボルト・ナットとの接点が直線的なデザインを最後まで採用するという頑ななこだわりは、日本の古い工具ファンから熱い支持を集めてきました。
そして、もうひとつ、忘れてはならないのがドイツ工具の真髄ともいえる傑出した鍛造技術です。鍛造工場は、高熱・振動・騒音という、作業環境としては非常に厳しい環境。この厳しい環境の中で、何トンというハンマーを打ち抜き、数ミリ単位で仕上げる職人には高い技術力はもちろん、精神力と忍耐力も必要とされます。多くの工程が自動化されている現代の工具製造工場ですが、ハゼットの鍛造は未だに職人の高い技量によって行われています。この技術こそが簡単にコピーすることの出来ない、ドイツという国が歴史のなかで育んできた職人文化によってもたらされるものだといえるでしょう。ハゼットの工具の鍛造技術を感じることが出来るレンチに触れ、手に伝わる、他メーカーの工具とは違う独特の剛性感を確かめてください。
カテゴリー
・ラチェットハンドル
・ソケット
・レンチ
・ドライバー
・握りもの
・工具箱
・その他
主な製品(代表工具)
HAZET HINOX(ヒノックス)ヘックスソケット5PCセット
※ファクトリーギア別注セット
工具ブランドとして、決して派手ではないハゼットは、ピカピカでタフなアメリカンツールであるスナップオンの台頭と共に、日本市場での存在感が薄れた時期もありました。多くの欧州メーカーが日本市場にアプローチを繰り返しても、日本独特の複雑な流通や日本人ユーザーの嗜好を掴みきれずに消えていったのに対して、ハゼットが粘り強く日本の市場で生き続けることになったのには、ヘックスソケットの存在が大きいと言えるでしょう。
かつて、六角穴付きボルトが出始めた頃、国内には質の高いヘックスソケットがなく、ボルトメーカーが付属のように販売していたL型レンチが主流の工具でした。そんな折、すでに欧州で流通量が増えていたヘックスボルト用に実績のあったハゼットのヘックスソケットはラチェットレンチなどのハンドル工具と接続して使える使い勝手に加えて、タフなクオリティーが当時の日本市場では他に比較できるものがないほど高いとして評判となり、以来、長く、ハゼット=ヘックスソケットという評判が日本に根付いたといえます。最近では各工具メーカーの品質も著しく向上し、ハゼットのヘックスソケットのクオリティーは、もはや決して突出したものとはいえなくなっているものの、長く愛用するファンにとって、また、その伝説を伝え聞く多くの若手メカニックにとっても、特別な工具として現在も愛用されています。
デザインの特徴
ハゼット製品の多くは、コーポレートカラーであるブルーをハンドル部分などに用いることで、一目でそれがハゼットの製品だと分かるようになっています。また、トートトレイ(写真右)などは、本来工具入れとして作られた製品にも関わらず、マガジンラックや調味料入れなど、本来の用途とは違ったお洒落なインテリアグッズとして購入される方も多く、人気が高い逸品です。
使用されている業種
自動車整備業界
機械工具業界 他
販売ルート又は購入可能場所
工具専門店
WEB販売
保証
日本国内においてHAZET JAPANが輸入し、正規販売ルートにて販売した全商品は、メーカー規定に基づいた対応を行っております。詳しくは下記メーカーサイトの規定をご確認ください。(ハゼットジャパンHP 品質保証)
http://www.hazet-japan.jp/product/hosyo.htm
主な取引先・提携先など
参考文献
ハンドツールバイヤーズガイド 学習研究社
工具の本vol.7 学習研究社
世界の一流工具2015 洋泉社
その他
欧州ブランドの先頭を走るツールボックス
大型のレーザーカッティングマシンを持つツールボックス工場をドイツ国内に持ち、高い精度で仕上げられるツールボックスは欧州でも高い評価を受けており、アメリカのツールボックスとは異なる欧州デザインのハゼットのツールボックスは日本でもジワジワ人気を集めています。
日本に2台しか無いハゼットバン
日本では2台しか無いという、貴重なハゼットのデリバリーバン。スナップオンバンのようにカーディーラーを定期的に巡回するわけではなく、正規販売ルートで販売している工具専門店のイベントなどで目にすることが可能です。写真はファクトリーギア豊橋店で行われたイベント時のもの。
外部リンク
HAZET – 公式サイト