ソケットやレンチ類には画像のような「ザグリ」加工と呼ばれる内側の面取りが施されているのが一般的です。
しかし今このザグリに変化が訪れています。
ザグリ加工はなんのため?
ボルトの頭がはまる開口部にザグリがあることでソケットがはめやすくなります。
仮にザグリがなかったら、ボルト・ナットに対しソケットをまっすぐアクセスしないとうまくはまりません。
ザグリによってわずかですが開口部が広がることでソケットがはめやすくなり、
ボルト・ナットの付け外しがとてもスムーズに行うことができます。
このザグリ加工はある程度しっかり付けられている(ザグリが深い)ものがこれまで一般的でしたが、
実は近年新しく登場するソケットではザグリが浅くなってきているのです。
『低頭ボルト』の出現
ザグリに変化が出ている背景には、ソケットで回すボルト・ナットの形状変化と密接に関わっています。
これまでのボルトの頭(六角部分)の厚みが軽量化やコストの削減によって厚みの薄いタイプが出てくるようになりました。
従来のソケットで低頭ボルトを回すことも可能ですが、問題は回す際にボルトとソケットが接触する面積が減ってしまう点です。
ザグリがあるとそれだけ接触面積が減りますが、ボルトの頭が薄くなるとさらに接触面積が減ります。
それによってボルトをなめさせてしまう(角を傷めてしまう)リスクが上がってしまいます。
そこで有効なのがザグリの浅いタイプのソケット。
ザグリが浅くなることでボルトの頭との接触面積が確保できるので安全にボルトを回すことができます。
KO-KEN Z-EAL6角スタンダードソケットレールセット 8ヶ組
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ネプロス 【SET】9.5SQ ソケットセット
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DEEN 3/8SQスタンダードソケット9CPセット・6角
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Ko-ken、nepros、DEENといったブランドはザグリの比較的浅いソケットを設定しています。
またザグリの浅いソケットは他にも「E型トルクスソケット」がやはり低頭タイプのトルクスネジに対応した製品として出ています。
引用:http://www.koken-tool.co.jp/product.html
DEEN 3/8SQE型TORXビス用ソケット6PCセット
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メガネレンチにもザグリの変化が
ところでザグリ加工はソケットに限られたものではありません。
同じくボルト・ナットを回す工具である「メガネレンチ」にも同様の変化が見られます。
DEEN(ディーン) 75度オフセットメガネ5PCセット
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DEEN 超ロングメガネ5pcセット
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上記1枚目はKTCの一般的なメガネレンチ、2枚目、3枚目はDEENのメガネレンチ(75度オフセットメガネレンチと超ロングメガネレンチ)です。
メガネレンチのザグリもソケットと同様にはめやすさを目的としていますが、低頭ボルトの登場によってしっかりボルトとメガネ部分が接触できるような形状の工具が出ています。
超ロングメガネレンチは特に力を掛けて回しやすいのでザグリがほとんどなく、ボルトとメガネ部分の接触面積が確保されています。
まとめ
低頭ボルトは前述したように軽量化が一つの目的です。
ボルトを何百本と使用する自動車だと何キロもの軽量化につながるので、車多整備において今後もどんどん見る機会が増えるかもしれません。
ザグリの有無でそれぞれの強みがあるので、ソケット選びの基準の一つとして覚えておき、
実際に回すボルトの頭を見てどんなソケットが適しているかを見極めましょう。