「ドライバービット」の規格や長さを見極めよう

IKEAの家具が日本の家庭でもどんどん使われるようになり、クルマもバイクもPWC（水上スキー）も、パーツは世界中から調達して作られる。モノ作りの世界では国境の壁は随分と低くなりました。こうなると、その国独特の規格も、グルグルと世界を駆け回るモノの流れのなかで薄まり、ブランドのルーツの国の個性は生きていても、今や中身は無国籍となっているといえるかもしれません。
text：高野倉匡人（ファクトリーギア代表）

Contents

1 多様化するネジ事情
2 そんなに揃えるのはムリ！
3 1本で何種類ものネジを回せる差し替えドライバー
4 おすすめの最新ビットはコレ！
5 ビットを使えるハンドツール

多様化するネジ事情

工具屋的に注目しなくてはいけないのは、日本に流通するネジの種類です。日本的な呼称である「プラスネジ」と「マイナスネジ」、それと六角頭の「ボルト」。いまや、この3種類のボルトを頭においておけば大抵のモノのネジを回せる時代ではなくなってしまいました。PWCに使われているビスに注目すればわかるとおり、星形の穴や六角の穴が付いたネジが多用されています。こういった「ネジ頭の穴に工具を差し込んで回すネジ」は、ネジ頭の外径を小さく出来ることで、軽量化やネジ周辺のスペースがとれないところでも使いやすいという利点があります。また、プラスネジに発生する、ネジを回す時に工具とネジを話そうとする力（カムアウト）が発生しないことから、組み立てラインで作られる製品などで工具の消耗が少ないという面もあって、クルマ、PWCといったものだけではなく、身の回りの様々な場面で使われています。

そんなに揃えるのはムリ！

こうなると、各々のネジに合わせて工具をひとつひとつ用意しなくてはなりません。そんなに頻度の多くないネジでも、ちょっと緩めることが出来ないだけで、とても面倒なことにもなりかねません。大きな工具箱に異なる種類のドライバーは各家庭でも用意してもらえれば工具屋稼業は大繁盛！なのですが、そんなことにならないように用意された工具があります。

1本で何種類ものネジを回せる差し替えドライバー

それは、ドライバービットを差し替えて使う工具です。ドライバービットを使った工具は、とてもDIY的な工具に使われる頼りない品質のものという印象もあるかと思いますが、最近のビットの品質はかつてのDIY工具の印象を覆す高品質なものが増えています。これには、強度が向上した「新しい建材」に使われる「強力なビス」に対応するために作られた「パワフルな電動工具」に負けない「強いビット」が開発されているという、建築業界の事情によるところが大きいようです。本来、電動工具で使うために開発された強力なビットをハンドツールで使うというのは、最近のこだわりの工具ファンの間では、ひとつのトレンドともなっているのです。ドイツ、スイス、日本、といった世界的に定評のあるビットをハンドツールで巧みに使い分け、コンパクトでも多くのネジに対応できるビット工具。1度試してみてはいかがでしょうか。