強力ニッパーと聞けばなんでも切れるニッパーと思いがちですが、実はそうではないのです。
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JIS規格では2種類のニッパーしかありません
ニッパーと言っても種類が色々あります。ニッパーの選び方で紹介しましたが、切断するものによって色々あるんです。
そんなニッパーですが、日本工業規格いわゆるJISでのニッパーの規格って、実は強力ニッパーと斜めニッパーの2種類しかないんです。
画像はスリーピークスさんより
上が強力ニッパーで下が斜めニッパーです。
ちょっとびっくりです。
プラスチックニッパーとか電工ニッパーとかエレクトロニクスニッパーとか色々ありますが、JIS規格はこの2種類だけなんです。
しかも、国内のプライヤーメーカーは、そのJISの規格以上のものを作っていたり、お客さんの声やニーズにあったニッパーを作っている為、色々な種類のニッパーがあり、切断能力もそれぞれあるのです。
強力ニッパーについて
まず、強力ニッパーと聞くと強うそうなイメージがありますよね、なんでも切れそうな・・・。
でも、強力ニッパーというJIS規格に準じたニッパーということで、なんでも切れるニッパーではないのです。当然、ピアノ線もきれません!
ピアノ線などが切れるニッパーは強力型ニッパーとかピアノ線切断ニッパーとかの表記がしてあります。ここは注意しなくてはいけません。
なので、商品名で「強力ニッパー」は強力なニッパーでなんでも切れるニッパーではないということをご理解ください。
JIS規格の強力ニッパーにはJ型とI型があります。
よく見る国内メーカーの強力ニッパはこの形状が一般的です。これはJ型です。
画像はスリーピークスさんより
I型は現在ほとんど作られていませんのでニッパーの画像がないのですが、イメージ的には海外メーカーのニッパーに見られる、こんな形状に近く、頭が横に広くなっていて厚みは薄くなっています。
写真はKNIPEXの強力型ニッパーです。形がI型に似ていたのでイメージとして使いました。
国内メーカーのニッパーは、この強力ニッパーのJ型の形状をしているタイプが多いですね。刃の形状や材料などによって切断能力が違い、切る対象物に合わせて色々なタイプがあります。基本はこの強力ニッパーのJ型から進化していったものでしょう。
切断能力について
JIS規格でいう切断能力は決められた鉄線これもJIS G3532という鉄線を規定の荷重で切断できることなんです。力のある人だと切れて、力のないほとだと切れないとかそういうことにならないうように、規定があります。
このJIS G3532はいわゆる釘みたいな鉄線で、この太さが切断能力の基準となります。
このことからわかるように、なんでも切れる丈夫で強力なニッパーではなく、JISの強力ニッパーの規格に準じたニッパーを強力ニッパーということで、ピアノ線などの硬い素材を切断する規定はどこにもないのです。
なので、最初にも書きましたが、多くのプライヤーメーカーは、この規格以上の能力のニッパーを作っています。
高いニッパーと安いニッパーは何が違うのか?
いいニッパーとそうでもないニッパー、高いニッパーと安いニッパーの違いは、ズバリ鋼材の差です。
硬ければ磨耗には強いが、衝撃には弱い。逆に柔らかければ衝撃には強いが、磨耗には弱く、固いものは切れません。
いい材料は硬くて衝撃にも強いもの、となるわけですが、これには色々な鋼材を混ぜ合わせて作ります、各メーカーさんが材料を供給してくれる鋼材メーカーと試行錯誤をして作り上げた秘伝のレシピがあるわけです。
ペンチにはペンチに適した材料、ラジオペンチにはラジオペンチ適した材料、ニッパーにはニッパーに適した、その中でも切断する対象物に合わせたニッパーへの材料など、それは、メーカーさんも研究に研究を重ねて作り上げてきます。だから切断能力の高いニッパーは材料もいいもの使うので価格も高くなるのです。
ニッパーは刃物です、特に日本は侍の国、日本刀の文化があるので、切るということに関しては非常にこだわりを持っている民族だと思います。だから各メーカーさんこだわりを持って作っています。
JISの規格以上の品物を作ってしまうのはしようがないですよね。ニッパーに限らず、多くの工具はJISの規格外、いい意味での規格外の製品が多いです。
まとめ
強力ニッパーは、なんでも切れる丈夫なニッパーではなく、JISの定める強力ニッパーの規格に準じたニッパーです。強力型ニッパーとは違います。ピアノ線などの硬いものは切れません。なので、ニッパーを選ぶときは、切断したい対象物を切れるかどうかをしっかりと確認してから選びましょう