スナップオン

ロゴマーク

呼称・名称・略称(メーカー名、ブランド名)

Snap-on Incorporated(スナップオン)

国(ブランドのある国)

アメリカ

工場

アメリカ、台湾(レンチ系)、中国(工具箱)、スペイン(モンキーなど)

概要

世界でもこだわりの工具ファンの数が圧倒的に多いアメリカで、ナンバーワンのブランドとして人気を集め続ける工具が「スナップオン」。この半世紀を振り返ってみても、世界の多くの工具メーカーがスナップオンのデザイン、品質に影響を受け、進化を続けてきたと言っても過言ではないでしょう。日本でも、上質な工具の魅力を多くの人が知るようになったのは、スナップオンの工具によるところが大きいといえるかもしれません。

  

歴史(エピソード)

時はT型フォードの量産型が生まれ、車の製造にスピードと確実性が求められだした1920年代初頭のアメリカ。工具の新しい時代の幕開けは、たったひとりの若いサラリーマンのひらめきから生まれました。そのころの工具はTL型などのハンドルにソケットが一体型となっていて、10種類のサイズに10種類のレンチが必要だったため、当時の車の製造現場には大量の工具が溢れていましたが、当時グライダー製造会社に勤めるサラリーマンだったジョセフ・ジョンソンはソケットとハンドルを分離してひとつのハンドルでいくつものサイズのネジを回す工具を考えつきました。そして、このひらめきが今我々の目にするラチェットレンチ誕生のルーツであり、このジョセフ・ジョンソンこそが今やキングオブツールスとして世界的な工具メーカーとなったスナップオンの創業者なのです。もし工具にこのソケット着脱というメカニズムが誕生していなかったら、いわゆるメガネレンチやスパナレンチなどが花形工具となっていたはずで、カチャカチャと工具をあれこれ組み合わせるという工具の楽しみや、ラチェットレンチをベースとした奥行きのある工具のラインアップもおそらくなかったかもしれません。そういう意味でもラチェットのルーツを生み出したスナップオンは工具の王様の称号が相応しい工具メーカーだと言えるでしょう。
 では、スナップオンはどのようにして日本に入ってきたのでしょうか。時は今から70年ほど前。終戦後に日本に駐留していたアメリカの進駐軍が本国に帰る際、放出された工具のなかにスナップオンの工具がありました。終戦まもなくで物資が乏しく、高品質工具を手に触れる機会はほとんどなかった日本で、良質な鉄で作られたスナップオンの工具は、タフでありながら驚く程コンパクトなデザイン、余分な肉が削ぎ落とされた工具は機能的であり、かつ美しい。放出品とはいえ、圧倒的な存在感を放ち、当時、運良くスナップオンの工具を手にすることが出来た日本人メカニックたちを驚かせたそうです。とはいえ、放出品に出会えたのは進駐軍の基地近くに居た一部のメカニックだけであり、その噂を耳にしても到底手にすることの出来ない幻の工具という、そんな入手困難度が、スナップオンの神秘性を高めるひとつの理由となったともいえるでしょう。

 

誕生から100年を迎えようというスナップオンの工具。今も尚、多くの工具ファンから高く評価されて続けているのは、工具が生まれる背景の違いによるところが大きいかもしれません。一般的な工具メーカーは、製造はするものの、販売は商社や販売会社を通じて行われます。ところが、アメリカ本国では、長く「デリバリーバン」と呼ばれる大型の荷室付きのトラックに工具を詰め込み、ユーザーを巡回する形で行われ、巡回するセールスマンはスナップオンの正社員ではないものの、フランチャイズオーナーとして高い意識でユーザーからのリアルでホットな情報を収集し、こうして集められた情報が新製品の開発や、既存商品の改良に生かされています。世界130国で巡回するバンの台数は約5000台。アメリカと同様の販売方式が取られているドイツ、イギリス、オーストラリア、南アフリカ、日本を巡回するバンもあることを考えると圧倒的な情報収集力があり、スナップオンによって生まれる工具のラインアップが独創的で個性的なものが多いにも関わらず、奇抜ではなく機能性に優れたものが多いのは、こんな販売手法の違いがあるからだといえます。

カテゴリー

総合工具メーカー

  • ラチェットハンドル
  • ソケット
  • レンチ
  • ドライバー
  • 工具箱
  • SST(特殊工具)

主な製品

今も世界の工具メーカーの先頭を走るスナップオンの工具。アメリカのクルマと共に育くまれたスナップオンの工具を手にすれば、アメリカンカルチャーがずっしりと伝わってきます。

3/8SQ スタンダードラチェットハンドル80ギア 品番 F80
3/8SQ スタンダードラチェットハンドル80ギア/品番 F80ファクトリーギア参考販売価格 14,294円(税抜)
スナップオンを象徴する工具といえるのが小判型のラチェットハンドル。2008年に小判型の完成形と言われた36枚ギアのヘッドをフルチェンジして登場させた80枚ギア。かつてのスナップオンのラチェットのイメージを大きく変える、柔らかな使用感が特徴的です。
内部構造
内部構造小判型の傑作と言われた前モデルのF936の内部構造と最新のF80を比較してみると、全く構造が異なることがわかる。発売から10年近くが経過してもトラブルが少ないのは、二つのクロウを使った構造が設計通りに機能しているといえるからかもしれません。
ハンドル
ハンドル樹脂タイプのハンドルは太く大きいのが特徴ですが、このF80に採用されているプレーンなハンドルは、日本メーカーのものと比較しても細く対照的なものとなっています。ギアが細かくなり、空転トルクが軽くなったことでハンドルを振る際の疲労度も軽減されました。
ON/OFF表示
ON/OFF表示ラチェットヘッドに刻まれたON/OFFの刻印はスナップオンの特徴でもあります。プロにとっては毎日使用するものなので、刻印など見なくても指先が覚えるものですが、もはやスナップオンの象徴としてデザイン的な意味が大きいといえます。

デザインの特徴

スナップオンの工具はシンプルなデザインのものであっても、ハードな使い手だからこそ、こだわりたい細やかなアイデアが生かされているものが多くあります。これほどまでに長くプロに支持され続けているのは、単に丈夫で耐久性があるという理由だけではなく、こだわりの使い勝手の良さがあることと、機能を生み出すために無駄な部分をシェイプし、重厚感がありながら決して野暮ったくなく美しく仕上がったデザインがあるからだといえるでしょう。

使用されている業界

オートモーティブを中心に、世界各国で軍隊や航空関係、製造業、医療関係など幅広いユーザーに使われています。

販売形態

バンセールス

店頭販売

専門店

  • ファクトリーギア
  • 東急ハンズ

WEB販売

保証

スナップオンが日本のプロフェッショナルユーザーによって支持を集めてきたもうひとつの理由が、「永久保証」と呼ばれるシステム。これは、「製造上の瑕疵によると認められる不具合が見られた場合、期限を問わずに保証いたします」という独自の保証システムとして長くユーザーに知られてきたものです。しかし、最新のスナップオンの製品保証規定には、「永久」とか「無期限」という文言はなく、「各製品の保証規定に定める期間中」という表現になっており、また、ドリルビットなどの消耗品も「瑕疵が購入時点で発見された場合」という説明がされています。これは、一部で拡大解釈され混乱してしまった現場への対策として改められたものだといえるでしょう。スナップオンの工具について、今でも「一度買ったら永遠に何度でも新品に交換してもらえる」と、いうような誤った認識が一部で残っているものの、保証規定の文言も変わり、明確にスナップオンの保証が常識的なものとして運用されるようになってきたといえます。もちろん、規定の文言が変わっても、スナップオンは高品質工具として魅力溢れるもので、製造元としてのきめ細かなサポートをする姿勢が変わることはありません。

スナップオン 保証規定

主な取引先・提携先など

官公庁、国産車ディーラー、航空会社など

参考文献

ハンドツールバイヤーズガイド 学習研究社
工具の本vol.7 学習研究社
世界の一流工具2015 洋泉社

その他

ブルーポイント

スナップオンの廉価ブランドという位置付けで販売されている工具ブランド。多くは他社からのOEM供給で作られています。