工具箱を選ぶ時に知っておきたい重要なポイント〜本当に必要な工具箱がわかるチェックリスト付き〜

概要

 工具を効率的に使いこなすために整理収納をする箱、あるいは便利に軽快に持ち運ぶために用いる箱やバッグなど。使う場面や場所に応じて様々な大きさ、形、デザインが存在する工具や道具、パーツを収納する箱やバッグなどの総称が工具箱です。
 一口に工具箱と言っても何を基準に選んだら良いか、ただの工具入れではなく、ご自身に合うベストな工具箱選びのヒントを紹介していきます。 

歴史

 1990年代後半頃から台湾メーカーの安価な工具箱が大量に流入したことによって、かつて高嶺の花ともいわれたキャビネットタイプのツールボックスも日本国内で急速に普及してきました。アメリカブランドのスナップオン、プロト、ウォータールーといった当時主流だった大手ブランドのモノと比較して、当時の国内市場価格の半値以下で購入できた台湾メーカー品は、アメリカを中心にしたDIYマーケット向けに作られたコスト優先の設計タイプが多かったこともあり、凹凸のある床の上を大量の工具を詰め込んで毎日ゴロゴロ動かす日本のプロメカニックの厳しい状況には対応出来ない品質のものも少なくありませんでした。しかし、この日本ユーザーのヘビーな使用環境が、その後の台湾工具箱メーカーの品質向上に大きな影響力を持ったことも事実ではあります。

ブランドと国

ブランド 取り扱いのある工具箱の種類
定置型 携帯型
日本 DEEN
KTC
ENGINEER
HOZAN  
RING STAR  
SUPER TOOL  
アイリスオーヤマ  
MEIHO  
サンコー  
FESTOOL    
ALINCO    
ナカオ    
FUJIKOWA    
PROTEX    
濱田プレス工藝(メリックス)    
ダイシン  
大阪製罐()(OS)    
Canyon    
ERECTA    
TOKUYAMA    
YONEZAWA    
 アメリカ     Snap-on    
Park Tool    
Mac Tools     
MATCO    
Pelican   
RubberMaid
ドイツ HAZET
KNIPEX  
STAHLWILLE
スウェーデン BAHCO

種類

ローラーキャビネット
ローラーキャビネットローラーキャビネットとは、生産工場や整備工場などを始めとして、様々ないわゆる「工場」で活躍をしている、主にスチール製のキャスター付き工具箱の総称です。
樹脂製ボックス
樹脂製ボックス持ち運びを想定した、プラスチックやABS樹脂など、軽さを重視した工具箱です。
アルミ製ボックス
アルミ製ボックス単体で電子機器などを持ち運ぶことはもちろん、医療現場や撮影クルーなど、機材を種類ごとに分けて収納し、重ねて持ち運ぶことを想定した工具箱です。
ステンレス製ボックス軽さと持ち運びを重視したステンレス製の工具箱です。

スチール製ボックス

チェスト持ち運びも可能で、キャビネットの上に置いて使う事も出来るのがこの工具箱です。小さなビットやソケットなどを種類や大きさに合わせてきちんと収納しておけば、作業もスムーズに進むはずです。作業台や棚の上に置いても使いやすいです。
両開き主に持ち運びを想定し、左右に広げて中に収納されている工具などを、ひと目で確認することができる工具箱です。
片開き蝶番などで止められていて、片側だけ蓋が開くようにできている工具箱です。

ツールバッグ

ナイロン(ポリエステル)製いわゆる工具バッグというとこのタイプを指すことが一般的です。設備関係の仕事をされている方が多く使用している工具箱です。
革製元々は交通渋滞が激しいパリを中心に、エンジニアがメトロを利用して移動するのに使われていた工具箱です。日本では工具箱としても使われていますが、日常使いとして使用されることが多いです。
工具バケツ建築現場などで良く見られる、バケツ型の工具箱です。

腰袋

ナイロン製主に電工関係、内装関係の職人さんが作業時に腰に装着して、工具を収納するナイロン製の腰袋です。
革製主に電工関係、内装関係の職人さんが作業時に腰に装着して、工具を収納する革製の腰袋です。
キャスター付き移動工具箱工具を大量に整理収納し、国内外を出張する際に活躍をしている工具箱です。
ツールワゴンキャスターで移動ができ、数段の棚が装備されており、主に生産工場や整備工場で工場内を移動する際に使われる工具箱です。
プロテクターツールケース精密機器や電子部品などを、衝撃から守る機能を兼ね備えた工具箱です。

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用途(使い方)

定置型

工場内キャビネット特定の場所に設置して使う事を前提とした置き型の工具箱。キャスター付きの移動が出来るタイプから、動かさない事を前提にした巨大なものまで大きさは様々です。収納器具としてのみではなく、天板を作業台代わりに使うケースも少なくはなく、大きさの選定はご自身の用途を出来るだけイメージを深めてしていくと理想の環境が手に入りやすくなります。
ツールワゴン定置型の中に入りながらも移動しながら使う事を前提とした工具箱の種類。大きな工場内キャビネットにツールをすべて保管し、このツールワゴンで必要物と部品をピックアップして持って行って使う、というケースが一般的です。また、比較的小さな工具箱(チェストタイプ)をまるごと乗せて移動先で便利に使う、というケースも見られます。

携帯型

バックパック、ショルダーバッグ様々な場所へ工具を持ち運ぶ必要がある場合、もしくは手持ちの工具が少量の場合も有効です。特性上、ナイロン素材のものが多く見られますが、革製、アルミ製など最近はバリエーションが増えつつあり、選択の幅が広くなってきました。
荷台、車内用車(トラック)に備え付ける事を前提とした工具箱の一種。出張先、旅先などで必要に  なりそうな工具や部品類を入れておくケースが多いです。
出張整備用(キャスター付き)移動を伴うが携行しなければならない工具や部品が多い場合に重宝する、キャリーケ ースの様な感覚で使う事が出来る工具箱です。移動を伴うため本体に発生する振動もなかなかのものなので、どんなものを入れるにしても剛性感をよく確かめて選定する事をお勧めさせて頂きます。
出張整備用(手持ち) 出張整備から庭先仕事まで幅広く活躍するタイプの工具箱です。スチール、アルミ、樹脂等材質の選択幅も非常に広く、また大きさの幅も随一です。積み上げて使ったり、用途ごとに工具箱を分けて使っている方もよく見かけます。

保証

各メーカーにより異なります。明確に保証規定をHPやカタログに明示しているメーカーもあれば、保証規定を設けていないメーカーもあります。
気になる場合はメーカーのHPやカタログ、販売店などに確認することをオススメします。

選ぶポイント(チェックリスト)

全般

サイズが用途に適しているか

設置スペースを確認する、という意味のみではなく、チェストタイプのツールボックスの引き出しの高さや横幅が、機能的にツールボックスを使う際に重要だからです。例えば、レンチ類を多用するオートモーティブ系メカニックは、低い引き出しにレンチ類をまとめて入れる様になり無意識に工具を分類して収納するようになります。逆に、電動工具やガーデン系の大きな工具類を使うDIY系ユーザーにとっては、低い引き出しに収納する工具類はすくないので、高さのある引き出しの段数が多いモノを選ぶ事で快適に収納できます。

内寸は収納要件を満たすことが出来るか

なんとなくデザイン面だけで選んでしまうと、本来の機能である「収納」がうまくいかないケースも出てきます。良いツールボックスに出会ったら、ここをぐっと堪え、自身がどう収納をしたいか、使いたいかをイメージして内寸の確認をしましょう。

丁寧に溶接されているか、縫製にほつれ等ないか

ツールボックスはシンプルな形状なので、比較的簡単に製造できるものだと思いがちですが、重い物を収納して毎日の様に動かす現場では、ボックスのちょっとしたゆがみや組み付けの甘さが、箱本体に深刻なダメージを与える事もある繊細な商品です。つまり一概に鉄板の厚みのある重そうな箱だから丈夫だと決めるける事は出来ません。

デザインはお気に入りか

ここまで機能面での選び方を挙げてきましたが、やはりデザインもとても重要です。

小さなチェストも、ローラーキャビネットと呼ばれる大型の工具箱も、工具を収納する箱であると同時に上質工具を使うものにとっては顔にもなるものです。日本では今、様々なデザインとクオリティの工具箱を目にすることができます。大型の工具箱などは決して安い買い物ではないので、ぜひ実際に現物を確認して選ぶことをオススメします。実際に触れてみると、カタログや写真だけでは分からない箱の剛性感や、塗装の美しさなどを確認することができます。お気に入りの工具箱にこだわりを持って選んだ上質工具を詰め込めば、なんだかちょっと違う明日がやってきそうな気分になるはずです。

定置型キャビネット

イメージより一回り大きいボックスを選ぶ

設置スペースが十分にある場合は、迷うことなくイメージより一回り大きいボックスを選んでおいた方が後悔が少ないです。今ある工具を基準に考えると、あっという間に工具箱は一杯になってしまうでしょう。消耗費やパーツは勿論、今後買い足す工具も同じ工具箱に入れる事も忘れないようにしたいポイントです。

動かす事をイメージする。

通常は2輪固定の2輪自在というものが多いですが、狭いスペースで大型の工具箱を動かす場合は4輪自在が非常に便利です。単純に車輪幅が太いというだけでなく、剛性感や動かした時のフィーリング、クッションなども確認することをおすすめします。

工具箱ごと移動する事が多いのならツールワゴン(*同ページ内ツールワゴンの項目へリンク)が便利です。

フィーリングチェックは絶対!ベアリングは特に重要

最近は、ホームセンターなどで販売されている廉価版のローラーキャビネット以外は引き出しにボールベアリングが採用されていますが、ベアリングにもグレードがあり、安価なものだと簡単にレールごと壊れてしまう事もありますので、実際に触って引き出しのスムーズさをポイントとしてチェックすることをオススメします。

携帯型

収納を手軽にするなら「チェストタイプ」

チェストタイプは引き出しごとに分けて収納できるため、上開きのボックスと比べ使い勝手の面では軍配が上がるかもしれません。引き出しも簡単に飛び出したりしないようロックが付いているものがほとんどですので、移動前に気をつけて閉めれば問題はありません。また、天板の上に取っ手があるかないか?というポイントも重要です。この取っ手はチェストを持ち運びするときよりもむしろ、クルマや物置などから引っ張り出す際に重宝します。

そして、もし工具を大量に収納しない場合は、買いやすい価格帯の樹脂系のもので、割れにくい素材のものを選ぶのも選択肢として有効です。

収納容量重視なら「上開きのツールボックス」

チェストタイプよりも収納能力(容量)で勝るのがこの上開きのツールボックスです。中空構造になっている事がほとんどで、布のロールバッグなどの収納小物を併用すると、整理された状態で使う事が出来ます。まめな整理が必要です。

こちらも、収納物の重さによっては樹脂系のツールボックスも視野に入れて検討するのが良ろしいかと思います。

重量のある工具収納なら「キャスター付き移動式ツールボックス」

旅行バッグの様にキャスターを使って転がすことが出来るツールボックスは、徒歩を伴う移動、かつある程度重量のある工具類を持ち運ぶ場合に非常に有効です。上記「チェストタイプ」と「上開きのツールボックス」を合わせた様な性能を持つものも存在しています。

参考文献

工具の本バイヤーズガイド 学習研究社
工具の本Vol.7 学習研究社
上質工具入門 山海堂
働く!工具図鑑 主婦の友社

関連項目

パーツボックス
収納ケース
収納関連グッズ

外部リンク

  1. Pelican
  2. YONEZAWA
  3. TOKUYAMA
  4. 大阪製罐(OS)