トルクレンチの選び方〜3つのポイント〜

トルクレンチとは

トルクレンチとは、ボルト・ナット等をねじ規定のトルク値で締め付けるための測定工具です。
クルマのホイールやバイクのパーツ取り付けなど、オートモーティブ系のメカニックが繊細に締付トルクを管理するという特殊モノのイメージだったトルクレンチも、今やカーボン素材などで作られた自転車の締め付けトルク管理での重要性が知られるようになり、すっかり身近なものになっています。

トルクの単位について

トルクの単位は以前kgf・m(キログラムメートル)が使われていましたが、1993年に施行された「新計量法」によりSI単位(ISO国際規格)への移行が義務づけられました。
現在では力の単位にはN(ニュートン)、トルクの単位にはN・m(ニュートンメートル)が使われています。
1N・mは0.10197kgf・mで、逆に1kgf・mは9.8067N・mとなります。
実際の作業においては1kgf・mは約10N・mを目安にして下さい。
 
1kgf・m=9.8067N・m
1kgf・m≒10N・m
1N・m≒0.1kgf・m

トルクレンチの選び方

①使用トルク値を知る

自分が測定したいトルク値を知らないことにはトルクレンチは選べません。
よくある質問で『エンジンルームのバッテリーターミナルを4Nm締めたくて、足回りホイールボルト103Nmなので、この範囲をカバーするトルクレンチありますか?』というように1本で小さい値から大きな値までカバーするトルクレンチをお探しの方がいらっしゃいますが、残念ながらないのが現状です。
複数のトルクレンチを使い分ける必要があります。
※適切な締付トルクはボルトの大きさだけでは決まりません。規定締付トルクは作業対象となる製品の整備マニュアルなどでご確認ください。

②容量を選ぶ

トルクレンチは測定トルク値の大きさによって様々なサイズが設定されています。
機種を選ぶ目安としては、トルクレンチの測定範囲の70%以内に作業対象のボルト・ナットの規定締め付けトルク値が収まる機種を推奨します。
例えば103Nmを測定したい方は最高値147Nm以上が推奨ですので、一般的には200Nmまでのトルクレンチになります。

③機種を選ぶ

大きく分けてプリセット型とデジタルタイプがあります。
プリセット型とは、あらかじめ設定したトルク値に達すると「カチッ」という音と手に軽いショックで知らせるトルクレンチの基本形。
トルク設定は変更可能で、多目的に使用できます。
最も一般的に広く使われるモデルで設定トルクも豊富なのがこのタイプです。

測定するトルク値をあらかじめ設定出来るので、連続して作業を行う場合やメモリの読み取りが困難な場所で使用する際効果を発揮します。
プリセット型は使い終わった後に設定トルクを最低値にする必要があります。

デジタル式とは、デジタルでトルク値を表示します。
設定トルク値に達すると音と光で知らせてくれます。
スナップオンはバイブレーション機能振搭載なので、振動で知らせてくれたりとメーカーによって特色もあります!

特徴としては左右両方向の測定が可能で、単位換算など機能が豊富です。
従来のプリセットで型では不可能だった測定値のメモリー機能や、締め付け中のトルクもリアルタイムで確認出来るデジタルならではのメリットもあります。
ボタン1つで測定値を設定出来ますし、使い終わった後プリセットの様に最低値に戻す必要もありませんので、時間短縮にもつながります!

またKTCのデジラチェはどの部分を握って使っても正確なトルクを割り出す感度センサーが内蔵されているため、測定トルクの制度が高いです。
KTCのトルクレンチはこちらから

DEENはヘッド交換式になっていて、スパナタイプ、メガネタイプなどのヘッドを使えるだけでなく、差し込み角のサイズも選ぶことができます。


DEENのトルクレンチはこちらから

トルクレンチの価格差について

トルクレンチをいざ買おうと思った時に安価なものと高価なものと両極端なことに気付いた方も多いと思います。
トルクレンチの価格は、DIYものとブランドものでは10倍以上もの開きがあるものもあります。
この価格差は使用されている中のスプリング(トルクレンチの心臓部)のクオリティの差です。
本体やラチェット部分のクオリティは使い勝手を変えることはあっても制度に大きく影響することないですが、正しくトルク測定するためには、内部でトルクを感じるための制度の高いスプリングの存在はとても重要です。
材質や硬度など安定した品質でスプリングを作るためにはそれなりのコストがかかります。
逆に安価なトルクレンチの場合は出荷点検を終えた直後の新品時を除くと、かなり不安な数値となっていることがあるとお考えください。

最後に

トルクレンチは1度買ったら長く使える工具なので慎重に選びたいですね!
精度はもちろんですが、デザインやヘッドの形状の好みなどで選ぶのもひとつです。
またプリセットタイプは『カチッ』の音やフィーリングも大切ですので、実際に触って比べてお選びすることをおすすめします。
ぜひ作業が楽しくなる、使い続けたい、納得のいくトルクレンチをお選びください。

決定版トルクレンチの使い方〜設定や注意点 管理方法まで〜

2023年7月10日

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