工具の収納場所に「キャビネット」をオススメしたい理由

先日のブログ『工具屋が教える、間違えない工具セット選び!』でご紹介した工具セットの形態のひとつに、キャビネットを容れ物として設定した工具セットがあります。

実はここ最近主要工具メーカーが新型キャビネットの発表とともにキャビネットタイプの工具セットも設定され、ユーザーの選択肢がまた広がりました。

しかしながらなぜキャビネットタイプの工具セットが新たに登場するのでしょうか。今回はその機能面から使ってみたくなるようなポイントを探ってみたいと思います。

キャビネット型工具セットの利点

利点①収納能力

工具セットとしての入り組み数は商品によって異なりますが、一般的にチェストタイプの工具セットで入っている工具の数が100アイテム前後。

その内容で容れ物(工具箱)がキャビネットになるということは、当然ですが大きくなる分スペースに余裕が生まれます。

工具セットのご購入に限らず工具を保管する場所をどうするかでチェストやキャビネットなどでご検討される場面がありますが、工具セットの入り組み数だけで工具箱のサイズをチェストタイプに決めてしまうと後で工具箱を買い直されるパターンもよく目にします。

特にお仕事(メカニック)で工具を使われる方だと数年の間に必要になる工具が確実に増えるのでそれを収納する場所が必要になりますし、また既にある程度工具を持っている方にとってはそもそもチェストタイプで収まらない可能性があります。

そこでキャビネットタイプであれば工具セットの入り組みがあってもスペースに余裕があることで追加して工具を整理できます。

利点②工具の扱いやすさ

前項からの続きになりますが、工具セットの入り組みをキャビネットに入れる事でスペースに余裕があることで、工具をキャビネットから取り出す/収納する事が容易になります。

たくさんの工具が詰め込まれた工具箱は工具を探す手間が掛かったり収納している工具同士がぶつかり傷めてしまうので作業効率を下げる要因にもなります。

スペースに余裕がある分工具をたくさん収納できるのもキャビネットの魅力ですが、特に作業の時間や質を高める必要がある環境では余計な工具は入れずに探しやすさや取り出しやすさを意識し、少し贅沢にスペースを取る事ができるのもまた一つの魅力です。

利点③工具の盗難、保護

キャビネットの大きさや強度面が盗難、また工具自体の保護に繋がります。

チェストタイプは作業現場や車中に置いていたら盗難に遭ったというお話を伺います。チェストのサイズ感や重さであれば運ぶのも容易なのが裏目に出るケースです。

キャビネットであればある程度の大きさになってくると移動させると目立ちますし中に工具は入った状態で持ち上げるというのも簡単ではありません。

一般的なキャビネットは鍵もついておりその場で鍵を壊して盗難というのも相当のリスクが伴うので、キャビネットを使って工具を保管するのも一種の防犯意識を高める事に繋がります。

またキャビネット自体の強度もチェストより高いこと、引き出しのロック機構により引き出しが勝手に空いて工具が落下したりするのを防止するなどの機能面もキャビネットの方が充実しているので工具を失くしたり外的な要因で傷めたりすることから守る事ができます。

おすすめキャビネットタイプの工具セット

・DEEN GEAR SET DEEN Pro6

製品購入ページ

こちらの工具セットは昨年販売が始まった「DEEN 6段キャビネット」を使った新型のキャビネット型工具セットです。

これまでチェストタイプの工具セットで培った入り組み内容を発展し、広いキャビネットのスペースに様々な作業に対応できる工具を豊富に収納(150アイテム)。

工具同士のスペースに余裕を持たせ、保管時はEVAトレーに嵌めておけるので工具の取り出しやすさと保護を両立しています。

大量の工具が標準で搭載してあってもキャビネットの引き出し上部3段分だけを使いますので下部3段は空きスペースとして工具を追加したり手持ちの工具を収納してあなただけの工具セットとして活用していくことができます。

・KTC ハイメカツ-ルセット

製品購入ページ

DEEN GEAR SET DEEN Pro6よりもさらに多くの工具(212アイテム)が収納されております。

幅広い機械整備作業を目的としているため専門性のある工具(スナップリングプライヤー)や作業環境により適切に対応するために同じ工具でもサイズ違いなどで複数モデル(モンキーレンチ、ハンマーなど)を搭載しているのも特徴です。

・スタビレー 「The modular tool tray system」

こちらは工具セットとしての紹介とは少し異なるのですが、キャビネットに工具を収めて使う上で非常に質の高い機能を用いているのがスタビレーです。

画像に写っているドライバーセットやレンチセットのトレーがメーカーで決まった規格に沿ったサイズで数種類あり、このトレーをそのままスタビレーのキャビネット内でぴったり収まるように敷き詰めることができるようになっています。

トレーを敷き詰めることで工具がキャビネット内部で別の位置に動くことがなく、またトレーの位置を任意の場所に置けるので使用者が最も使いやすいポジションに工具を置いておく事ができるのです。

トレーの種類によっては内側の色が異なっており、工具が使用中かが判別しやすくなっています。

これは工具の使用や保管に厳しい航空産業へ力を入れているスタビレーらしい特徴です。

まとめ

・工具セットの容れ物をキャビネットにすることで余裕を持った収納、長期的な使用、工具の保護などの面で作業効率を上げられます。
・メーカーごとの入り組み内容だけでなくキャビネットそのものの機能も忘れずにチェックしましょう。

ご紹介したキャビネットタイプの工具セットは工具の入り組み内容で比較した時に、やはり工具箱のサイズで価格が大きく変わってくる事が分かります。

しかし「利点①収納能力」の項目で述べたようにもし一度買った工具セット(の工具箱)が手狭になった時、工具箱を買い足すことで最終的に「工具箱だけにかける金額」分が余計に多くなります。

工具セットの工具箱を選ぶのは自宅を選ぶの事に近く、お仕事や趣味での作業上におけるあなたの人生設計(どんな作業、仕事をするか、それをどれくらい続けるのか)を元にふさわしいモデルを選んでください。