ドイツ・WERA(ヴェラ)本社でドライバーを始め工具の体験!

現在は生産の拠点をチェコに移していることから、以前は工場の一部だったというエリアに、セールス部門やお客さんが製品を体験できるトレーニングスペースがあるヴェラの本社。といってもただ単に製品をデモンストレーションするだけではなく、楽しみながら工具の特性を感じるために工夫されたものが多く、定期的に展示の内容がリニューアルされることで様々な工具をいつも新鮮に体験できるようになっています。そんなヴェラ・ドイツ本社の様子を誌上公開!
text:高野倉匡人(ファクトリーギア代表)

撮影スタジオのようなトレーニングエリア

トレーニングエリアは殺伐とした工作ルームという感じでは全くなく、ちょっとしたゲームセンターのようでもあり、撮影スタジオでもあるというような雰囲気。誰もが、何となく工具に自然に手が伸ばしたくなる楽しい演出が施されています。

ヴッパタール名物

ヴッパタールで有名な吊り下げ式モノレールに、かつて使われていたというレールの一部が展示してありました。今から100年以上の前というこちらは、モノレールの運営会社から譲り受けたのだそうです。

名車のエンジンでスイベル体験

オートモーティブのシーンでどんなふうに活用できるのかを体感するために、ランチアのエンジンが置かれていました。様々なポイントで機能的に使えるスイベルタイプのラチェットハンドルを、実際にエンジンにあててみることができるようになっています。

魅せるディスプレイ

まるでシャボン玉のなかに工具が浮いているように見える綺麗なディスプレイ。現在、欧州だけではなく世界各国に積極的にセールスを展開しているヴェラが、海外の展示会で使っているものということでした。

工具もこうやって展示するとまた違ったものに見えます。欧州の工具メーカーは、こんな風にとても上手に工具を魅せるなぁ、と関心します。

叩いて体験

欧州ドライバーには貫通タイプのものが少ないというイメージが強いですが、ヴェラでは貫通ドライバーだけでなくチゼルドライバーもラインアップしています。ハードに使える強力なシャンクを叩いて体感できるコーナー。

そしてこれが、チゼルドライバーだけを使って石を叩いて作ったという芸術作品(!?)。説得力がありますね。右の人物は、おなじみヴェラのマルティン社長。

ラチェットで楽しむ

建築現場では非常に人気の高い、ラチェットとハンマーが一体化しているKOLOSS(コロス)の打撃力をピンボールゲーム感覚で体感できるコーナー。打撃力を感じるよりもゲームとして楽しんでしまいました。

華やかな受賞歴

革新的に、柔軟に、独創的な製品をリリースし続けるヴェラは、毎年のように工業デザインの様々な賞を受賞しています。受賞することも立派だが、継続して新製品を作り続けるという終わらないチャレンジスピリッツが素晴らしいと思います。

トルクデモコーナー

最近ヴェラも積極的にラインアップを広げているトルク機器の展示コーナー。実際にトルクレンチをデモンストレーションして使用フィールを確認できるようになっています。市場的にも、今後トルク系工具のバリエーションはドンドン増えていきそうです。

ひたすら打ち込む!

木に充電ドライバーを使ってビスを打ち込むのですが、様々なビットを使い分けてみることで、ビットの機能の違いをより分かりやすく感じることができます。これもついつい何本も打ち込みたくなってしまうデモコーナーです。

バーチャル体感コーナー

こちらは家を建てるときに使うシーンを再現して、実際にどんな状況で機能的に工具が使えるかを体感できるエリア。様々なマーケットに向けて商品を供給するヴェラの工具は幅広い市場で使われています。

カッティングモデル

ヴェラの機能を引き出すビットアダプターの仕組みを説明しているカッティングモデル。急激に先端にかかるトルクをやわらげ、ビットの消耗を減らしつつ、伝えたいトルクはしっかりというアダプターは、日本の大工さんや電気屋さんにも人気。

滑り止めテストマシン

マイナスドライバーの先端に施されたダイヤモンドコーティングやレーザーチップデザインが、どのくらいの滑り止め効果があるかをテストするマシン。たしかに効果はあります。でも、日本にはこのテストマシンないんですよね…。

旧社名のディスプレイ&工具

ヴェラLITという、ヴェラの社名が使われる前のブランドが記された展示ショーケースには、同社の歴史を物語る面白い工具がたくさん収められていました。

ドライバー遍歴

ヴェラのドライバーグリップの変遷を並べてもらいました。オレンジのものが1968年頃に作られていたアセテートのもの。現在のグリップは1992年からだということです。2006年まではドイツで作っていたグリップも、今はチェコに拠点が移っています。

ヴェラのビンテージ・ソフトハンマー

かなり古めかしいハンマーは1930年代以前のものだとのこと。豚革を巻いて作られたハンマーは、プラスティックがない時代にソフトハンマーとして使われていたそうです。

3つの異なる素材で構成

工場では撮影できなかったグリップの製造工程ですが、ここでその内部パーツを並べて撮影させてもらいました。グリップは3つの異なる素材で作られていて、真ん中の黒い部分にはリサイクル素材を使い、その外側の黒い部分が硬いPE素材。一番外側にTPEという柔らかい素材を使うことで、フィット感とダイレクト感という両面を併せ持ったグリップに仕上げているそうです。

この特集は高野倉匡人「工具の本vol.7」の掲載記事をWEB用に再構成したものです。