【工具】ドライバーのお話前編〜人気のおすすめしたいドライバー〜

質の高いものと、そうではない廉価品を比較した時、誰もが瞬時に違いを体感することができる工具の代表格であるドライバー。ネジに吸い付くようなフィット感、力を気持ちよく伝達するグリップ。シンプルな形状の工具だけに、素材や加工精度がダイレクトに製品の品質につながるものでもあります。今回は人気のあるスタンダードでクオリティが評判のドライバーにスポットをあててみたいと思います。
text:高野倉匡人(ファクトリーギア代表)

ドライバー最新事情

【写真】WERAのショールームにあるマイナスドライバーの試験機
ドライバーのマーケットでここ数年、大きな変化が感じられるのは、まずマイナスドライバーについてです。最近、日本では周りを見渡してもマイナスビスの存在が少なくなりました。昨年のドイツ訪問の際に、ヴェラのショールームでマイナスドライバーのフィット感を診る試験機があったのですが、それはもはや日本では見ることがない類のもの。そもそもマイナスドライバーのフィット感をチェックしても、それを欲しいと思うようなマーケットが日本ではほとんどなくなっています。

もちろん、今も古いクルマをいじる人たちや、精密な電子機器ではマイナスドライバーは必要とされています。しかし現実的にはマイナスネジが減った今、マイナスドライバーはネジを回すものではなく、オイルシールをこじったり、グリスを部分的に塗る際にヘラ替わりで使われたり、タガネのように使われたりという本来の目的以外で使うちょっとかわいそうな存在になってしまっている気がします。

ふたつめはグリップ形状のバラエティが増えていることです。グリップの形状は生産国の国民性や文化などによって好みが分かれます。例えばアメリカでは大きなグリップで横ニギリした際にガッチリ感のあるものが好まれますが、日本ではオシリを包みこむような持ち方がしやすいタイプが好まれます。今まで日本で流通しているものは、アメリカタイプか日本タイプのどちらかで、個性的なものは少なかったのですが、ヴェラを始めとする海外のドライバーが多く入ってくるようになり、明らかにグリップの形状のバラエティが増えてきているように思います。

【写真】ドライバー破壊実験 の様子。グリップを固定した状態で横に力をかけ、先端がどれくらいの力で折れるかチェックします。
そしてもうひとつが、素材の変化。昨年、某ドライバーメーカーを取材した際、この10年でドライバーのシャンクに使われている素材の開発が進んでいることを実感しました。ついこの前までは、パッケージにクロームバナジュウム鋼などと書き込まれていましたが、今や世界のトップクラスのドライバーメーカーは、異次元のクオリティを持つ新素材を採用するようになっています。最近のドライバーが明らかに欠けにくくなっているのは、素材の変化によるところが大きいと言えるでしょう。

ここでは各メーカーの豊富なラインアップの中から主なアイテムをひとつずつ紹介させていただくので、ドライバー選びの参考にしてもらえれば幸いです。

非貫通スタンダードドライバー

貫通ドライバーがもてはやされている日本国内でも、一般的な商品では非貫通タイプのものが人気です。ヴェラが先端にレーザーチップという滑り止め加工を施したものをリリースし、新たなトレンドを生み出しています。

PB SWISS TOOLS スイスグリップドライバー(8190-2-100)

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日本で最もメジャーな欧州ドライバーといえばPBスイスツール。なかでも主流は、柔らかな人間の手に近い硬度を追求して作られたスイスグリップを採用したもの。グリップとしての剛性がないことはメーカーも承知の上で、握ったフィーリングを大切にしています。形状はマルチクラフトタイプのものと同様のクラシックな丸型。

PB SWISS TOOLS マルチクラフトドライバー(6100-4)


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スイスグリップが主流になる前は、マルチクラフトと呼ばれる硬いグリップがメインアイテムでした。しかし、天然素材を使ったグリップに独特な匂いがあり、これを嫌がるユーザーも少なくなかったのですが、最近は何と匂いをバニラフレーバーに変更。とても美味しそうな香りになっています。

KTC パームドライバー(MDEA-100)

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数年前まではグリップにFRANCEの文字が入り、KTCブランドでありながらフランス製だったパームドライバー。ロングセラーの理由は、KTCの看板セットに採用された
馴染みがあるドライバーというだけでなく、オシリを包み込んで使う日本人の使い方にフィットしたグリップ形状であることも大きいといえるでしょう。

ANEX 絶縁ドライバー(NO.7920+2×100)

電気工事屋さんが使用することの多い電工ドライバーはグリップエンドが丸く大きくなっています。これは、天井に向けて上向きにドライバーを使う際、手のひらで支えやすかったことから電気屋さんスタンダードになったといわれています。アネックスではシャンクに1000Vの絶縁被膜が施された安心設計。

WERA レーザーチップドライバー(WR350PH2×100)

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独特なグリップ形状は、粘土を握りつぶした時の形状をベースにしたもの。長く変わらないデザインですが、日本ではまだまだ目新しい斬新なグリップに見えます。先端に施されたレーザー加工がネジへの抜群のフィット感を生み出し、日本では爆発的な人気を継続中です。

PB SWISS TOOLS チタンドライバー(8190-2-100TI)

チタンの特徴である軽さにも驚きますが、製品化されている最大の目的はチタンが「非磁性」の素材だということ。医療機器や電子機器など、メンテナンス時に工具が磁化することは大きなトラブルの原因になるため、磁化しないチタン工具へのニーズがあります。しかしファクトリーギア店頭では、チタン独特の質感を求めて購入する工具ファンがいるのも事実です。
※メーカー生産終了商品のため、無くなり次第完売です。

―後編へ続く―

この特集は高野倉匡人「工具の本vol.7」の掲載記事をWEB用に再構成したものです。