「ボルト」と聞くと一般的には六角ボルトをイメージされるかと思います。
しかしネジの規格はもっと多様に存在します。もし思わぬ形でそんなネジに出くわした場合、どのような工具で対応が取れるのか、今のうちにチェックしておきましょう。
ボルト頭の規格に合った工具を使う
まずは当然なのですが、規格に合った適切なソケットやレンチ類を使ってください。
ファクトリーギアでよくご相談いただく代表例として『トルクス』規格があります。
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画面中央がトルクス規格。六角と異なりボルトの頭(辺)が曲線で構成されている。
サイズが違うどころではなく形状自体異なるので通常の六角ソケットやスパナレンチにはちゃんと合いません。
自動車やバイク関連では複数サイズのトルクス規格のボルトが使われているため、このことを知らない方にとっては非常に戸惑う存在です。
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しかしトルクス規格のボルトは様々な業界で使われるので専用の工具も流通しています。
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DEEN 3/8SQE型トルクスソケットE18
製品購入ページまたトルクス規格の場合、スパナなどクリアランスが狭い状況で使いたい場所には「トルクスレンチ」というメガネレンチのような工具もあります。
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トルクスレンチはHAZETやスタビレーなど欧州メーカーを中心に設定が用意されている。
今回は比較的工具のラインナップが多いトルクス規格用工具で紹介しましたが、自動車関連だと三重四角、四角ボルトといった規格の物もそれにあった工具が出ているため、まずはこちらから使うようにしましょう。
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画像中央が三重四角(トリプルスクエア)企画。90度角が12山ある。角度の違いから12角の六角用ソケットもちゃんとはまらない。
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複数規格のボルト対応工具を使う
前項の、規格に合った工具を使うことが確実で安全な作業を行うことができますが、それでも手持ちの工具に適応したサイズのものが無い場合もあり得ますし、いくら必要な工具を揃えていた方が良いと言っても全て揃えようとしたらきりがありません。むしろ持ち運びや収納の面で不便ですので、確実に使う規格の物は初めに揃えて頻繁に使うか微妙な規格について、代用できる工具をご紹介します。
・スプライン形状の工具
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プロオート 25PC ミニリバースギア&スプラインソケットセット
製品購入ページソケット内部に突起がたくさん出ているような形状の工具です。
本来は「スプライン」という、これも六角・トルクスといった規格とは異なる形状のボルトが存在し、それに合わせた工具なのですが、実はこの形状が、
六角、トルクス、三重四角、四角、三角といった複数の規格のボルトに対してうまい具合に突起が接触し回すことが可能なのです。
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この機能を生かし、ソケットだけでなくメガネレンチでもスプライン形状を採用した工具があります。
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プロオート ラピッドスプラインギアレンチ10mm
製品購入ページまた角が傷んで丸まってきた六角ボルトもある程度までなら回すことができるので、まさにボルトの頭を傷めてしまったような緊急事態にも対応できます。
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画像のようなボルトの傷み(角の丸まり)具合であれば対応できるが大きく損傷して丸まってしまったボルトは滑ってしまうので注意。
この工具を使用する際に注意する点は、厳密にボルトの形状に適合しているわけではないのでボルトに対しガタつきが大きくなる場合があり、大きな力で回す際はボルト、工具を傷めてしまう可能性がある事です。
ボルトを回すだけならスプライン形状の工具だけで揃えていても対応できますが、硬いボルトを緩める際などは工具とのガタつきが破損の要因になるので、そのような場合はやはり規格に合った工具から使っていくのが理想的です。
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近年では「ホニドライブ」というスプラインではなく最初から複数規格のボルトに適合できるよう専用設計されたソケットも販売された。
・ノガグリッパー
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NOGA グリッパー差込角9 .5mm
製品購入ページ外径はディープソケットの様ですが内部にたくさんのスチールピンが埋め込まれてあり、これが上下に伸縮します。
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54本のスチールピンが押し込まれたボルトの形に添って引っ込む。
これをボルトの頭に当てるとその形状に合わせてスチールピンが縮む事でボルトの頭の周囲を包み、まるでその形状用のソケットの様に回していくことができます。
この機構を生かすと、これまで紹介してきた様々な規格のボルトだけではなく、フックネジ・蝶ネジ・アイボルトといったさらに不定形な「ネジ」に対しても、スチールピンが縮んで頭を包める形状であれば回す事ができるという便利さがあります。
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一般的なソケットではまずはまらないフックネジなども回す事ができるのがノガグリッパーの強み。
この機能のおかげで産業系、オートモーティブ系だけでなく特殊な形状のネジを扱う建築系、さらに最近では自宅の家具などを自作されるDIY系のユーザーにも人気が高い工具となっています。
ノガグリッパーも可動する部品を含む工具なのでその分工具の重さと大きさがあるため狭い場所でアクセスしづらいのと高パワーで回すとスチールピンを傷める可能性があります。
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またスプライン形状の工具と同様に、完全にボルトの頭をぴったり覆う訳でないので多少のガタつきも出ます。規格に合った工具と組み合わせて使いまわす様に意識してみましょう。
まとめ
・六角ボルト以外の規格に対し、まずは適合するサイズの工具を準備しておく事から考える
・適合するサイズの工具を準備できない緊急時に備え、「スプライン形状の工具」「ノガグリッパー」といった複数規格のボルトを回す工具も合わせて準備しておく
・「スプライン形状の工具」「ノガグリッパー」は全てのボルトに適合せず、ボルト側を傷める場合もあるので専用工具との使い分けで作業効率を保つ
ご紹介した工具はある種万能な工具と言えますが弱点もありますしいずれもまず用意しておかないと意味がありませんので、メインとなる工具を補助するような使い方で安心して作業に臨める環境を整えましょう。
また、特殊な形状のボルトはメーカーがいじって欲しくない為に特殊形状にしている場合も多く、緩めたら元に戻せない場合もありますので、お気をつけ下さい。