3.Peaks（スリーピークス技研） | ファクトリーギアブログ

新潟県三条のペンチ・ニッパー専業メーカー。あえて握りもの工具と言わないのは、切ることにこだわった製品が多いから。そんなこだわりを物語る製品が、模型マニアから絶賛される「模型プロプラスチックニッパー」。ナイフで削ぐように切るのと同じような切れ味をニッパーで実現した工具として一部の工具ファンにとっては有名な存在となっています。日本的なこだわりの強いブランドといえるでしょう。
text：高野倉匡人（ファクトリーギア代表）

Contents

1 ロゴマーク
2 呼称・名称・略称
3 国（ブランドのある国）
4 工場
5 概要
6 歴史（エピソード）
7 カテゴリー
8 主な製品（代表工具）
9 デザインの特徴・こだわり
10 使用されている業種
11 販売形態
12 保証
13 主な取引先・提携先など
14 参考文献
15 外部リンク

ロゴマーク

呼称・名称・略称

株式会社スリーピークス技研
THREE PEAKS GIKEN CO.,LTD　
3.peaks

国（ブランドのある国）

日本

工場

新潟県三条市

概要

スリーピークス技研は「握り物工具」と区分けされる、プライヤー、ペンチ、ニッパーのなかでも、自分たちは「ペンチ・ニッパー専業メーカー」であることを強調したいというほど、「切る」工具にこだわったメーカーです。しかも前述のフジ矢と異なり、スリーピークス技研の工具は電気関係に特化することなく、プラスチック、鋼線など、様々な対象物を「切る」ことにこだわったラインアップとなっているのが特徴です。

歴史（エピソード）

昭和40年代の小山鐡工所の写真。ショーウインドーにはブランド「スリーピークス」の文字が見える。
スリーピークス技研は1940年（昭和15年）、小山清七氏によって「小山鐡工所」として新潟県三条市に創業されました。当初は作業工具メーカーではなく、自宅で機械の部品加工屋としてスタート。その後、フライス盤という切削機械を製造する工作機械メーカーへの道へと進みます。スリーピークス技研が切れ味にこだわる作業工具メーカーとなっていったのは、こんな工作機械メーカーとしてのルーツも少し影響しているのかもしれません。

1965年（昭和40年）より作業工具「ペンチ」の製造に着手。わずか2年という早さで日本工業規格（JIS）を取得。安定した量産製造には、専用の加工機が必要となる為、機械作りをしていたスリーピークス技研にとって有利に働いたようです。（当時製造した加工機の一部は、現在でも現役で稼働中）

1993年（平成5年）に社名を現在のスリーピークス技研とし、ブランド名が社名になりました。

現在、スリーピークス技研の製品は、日本国内では主に大手ホームセンター等を通じて販売されていることが多く、メーカーとしての製品へのこだわりがユーザーに伝わっていない印象がありますが、海外での評価はやや日本と異なり、ニッパーを中心に他メーカーにない切れ味が高く評価されるブラントとしてのイメージを高めています。現在は売上の比率の50％が海外ということからも、その評価の高さが分かります。

カテゴリー

ペンチ・ニッパー専業メーカー

主な製品（代表工具）

模型プロプラスチックニッパ　MK-02
現在のスリーピークス技研を象徴する工具といえるのが、プラモデルなどでプラスチックを綺麗にカットするために特別に開発された「模型プロプラスチックニッパ」。こちらはホームセンターなどの一般向けの販売ルートよりも、いわゆるアキバルートで、こだわり派の皆さまに向けて供給されています。一般的にプラスチック用のニッパーは、切り口に突起が出来ずまっすぐに切れることが大事とされていますが、プラモデル用ではさらに切り口の美しさが求められます。

切れ味が良いので「パチン」と一気に切ってしまいがちですが、これでは切り口に圧力が伝わり白く（白化）なってしまう…。「模型プロ」は、その名の通りプラモデル用に、白化しにくいニッパーは出来ないかという声に答えて出来たモノなのです。刃の角度を25度と出来る限り薄くし、かつ片刃にすることによってゲートをナイフで削ぐように切れ、片刃なので切断跡が中央に残らない、今までの常識を無視した特殊なニッパーとなりました。美しい切り口に仕上がる特別なニッパーを生み出し、プラモデル用としてはトップクラスの人気となっています。こだわりの声に答えてこだわりの工具を作る。今、求められるのはこんな工具メーカーなのかもしれません。

デザインの特徴・こだわり

エラストマー樹脂のグリップとプラスチックの板バネを採用。
日本工具の産地である新潟県三条市でも、多くの工具メーカーが拠点を海外に移したり、OEMで海外から商品調達したりすることが増えていますが、スリーピークス技研では一貫して国内生産にこだわってきました。熟練職人のスキルこそが、よい工具を作るのだという強い信念を持つメーカーだといえるでしょう。