2020年9月【最新版】機能で選んだラチェットハンドルおすすめ3選

ボルトナットを回すときに効率よく作業できる「ラチェットハンドル」は、プロツールとしてだけでなくDIYシーンでも活躍します。

そんなラチェットハンドルを他の工具と基本性能で比較してみたことがあります。

コードレスラチェットレンチを比較してみました③準備編

この時はスタンダードサイズのラチェットハンドルをベースに比較しましたが、サイズ感で有利な反面スピードではエアラチェットや電動ラチェットのように動力を使う工具には劣る面がありました。

そこでスタンダードラチェットに代わるツールならばどうか、と今回は「ロータリーラチェット」を取り上げます!

ロータリーラチェットとは

まずロータリーラチェットの基本的な性能についてご紹介します。

基本形状スタンダードラチェットとほぼ同じ(細かい違いは後述します)ですが、最大の特徴は「グリップを左右に捻って先端のドライブ部分を回すこともできる」という機能です。

奥まっている先のボルトを回す必要がある際に、特にボルトの左右のクリアランスがラチェットヘッド程しかないと、スタンダードラチェットではハンドルを左右に振ることができずボルトを回していけません。

そこでロータリーラチェットを使えばハンドルを振らずにグリップを捻るだけでボルトを回していくことができるのです。

スタンダードラチェットとの比較

ロータリーラチェットとスタンダードラチェットとの比較をしてみます。

先ほどの項目にあったようにロータリーラチェットとの違いは「ハンドルを振る必要があるかどうか」です。回したいボルトの特に左右にクリアランスが取れない作業環境では圧倒的にロータリーラチェットが有利です。

ロータリーラチェットのギア数は基本的に60ギアなので、昨今のスタンダードラチェットのギア数(72~100ギア)より少ないですが、そもそもハンドルを振らなくていいので送り角度(ハンドルを振る際の振れ幅(=角度))を考えずに使えるのも幅広い業種のユーザーに使ってもらえる要素だと思います。

さらにロータリーラチェットの中にはグリップエンドに1/4sqの穴が開いているモデルがあります。


この穴を活用してエクステンションバーを装着したりT型ハンドルを組み合わせることで、より奥まったボルトへもアクセスし、なおかつ回しやすさも確保できます。

一方でロータリーラチェットを見て「入り組んだ場所へはアクセスしづらいのでは」と思わる方もいます。確かにロータリーラチェットは内部の構造上、「首振りラチェット」のようにヘッド部分の角度を変えてアクセスはできません。またロータリーラチェットよりヘッド部分がコンパクトなスタンダードラチェットを選べば済むケースもあります。

ボルトへのアクセスが複雑な箇所での使用は、エクステンションバーやユニバーサルジョイントフレックスソケットとの組み合わせで幅広く対応できるので、無理にロータリーラチェットラチェット本体だけでなく周辺ツールと組み合わせることがより効率の良い作業に近づけると言えます。

個人的にロータリーラチェットが不利なのではと感じるのは耐久面です。

ロータリーラチェットはスタンダードラチェットと比較して部品の細かさ、部品数が多くなることで、その分の耐久性が下がるのではないか、という予想です。

ただし各メーカーともロータリーラチェットの耐久性を数値で公表しているわけではありません。ボルトの早回しという作業ではスタンダードラチェットもロータリーラチェットも同じ感覚で使ってもらっていいと思います。

前述したようにロータリーラチェットのギア数が60ギアとはいえ、構造がシンプルな方が壊れにくいので、固く締まったボルトを回すなどの作業でそのままロータリーラチェットを使うよりはスタンダードラチェット(それもギア数の少ないモデル)を使う方が壊れるリスクは減らせます。

※余談ですが実際にロータリーラチェットが破損した場合の修理はスタンダードラチェットより複雑なのですぐに修理するのが難しいです。

エアーラチェット、電動ラチェットとの比較

冒頭にご紹介したように、以前スタンダードラチェットとエアーラチェット電動ラチェットとの基本性能を比べる記事を作りました。

 

その際に分かったそれぞれの工具の関係性は、

・スピード、パワー性能の高さ
エアーラチェット>充電式ラチェットレンチ>ラチェットハンドル
・サイズ、重量の大きさ
エアーラチェット>充電式ラチェットレンチ>ラチェットハンドル
・準備(周辺機器を含め)の多さ
エアーラチェット>充電式ラチェットレンチ>ラチェットハンドル

といった結果になりました(個別のモデルによって関係性が逆転する場合もあるのでご了承ください)。詳しくは各記事もぜひ見てください。

コードレスラチェットレンチを比較してみました①スピード・パワー編

コードレスラチェットレンチを比較してみました②サイズ・重量感編

コードレスラチェットレンチを比較してみました③準備編

 

ではスタンダードラチェットハンドルをロータリーラチェットへ変えたときにどうなるかというと、それぞれの位置づけ自体は変わりません。

極端な説明ですがより早いスピードだけを求めるなら手の力以外の動力を使えるエアーラチェットや電動ラチェットを使えば良いですが、それらの工具を実際に使えるように準備するには周辺機器を含めて設備コストと使用までの時間コストも多くかかります。(電動ラチェットなら充電器を用意しバッテリーを充電する、エアーラチェットならコンプレッサー、ホースを用意し空気を充填するためのコストなどです)

スタンダードラチェットやロータリーラチェットは本体を用意してすぐに使える、早回しという機能をコンパクトなスペースで手軽に使えるという点が大きなメリットであり、プロツールとしてだけでなくプライベーターやDIYを始めるエントリーユーザーにとって、買い揃えるのにハードルが低く使いやすいツールだと思います。

おすすめロータリーラチェット

最後に今おすすめするロータリーラチェットを紹介します!

PROXXON ロータリーラチェット シリーズ

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ドイツブランドのPROXXON(プロクソン)から発売されているロータリーラチェットですが、シリーズとしてご紹介したのは、まずラインナップとして1/4SQ、3/8SQ、1/2SQのラインナップが揃っている点です。そしていずれも比較的にリーズナブルに販売されているので購入しやすいとも言えます。

各モデルともプッシュボタン付きでソケットの着脱が行いやすい、グリップがラバーなので握りやすい、グリップエンドに1/4SQ穴付きでエクステンションバーが装着できるといった基本的な能力をたくさん兼ね備えています。

他メーカー品のロータリーラチェットと比較した際には、1/2SQモデルは仕方ないにしても1/4SQモデル、3/8SQモデルのサイズ感が一回り大きいです。これをスタンダードラチェットと同じ感覚で持ちやすいと取るか持ちにくい・重いと取るかで他メーカー品にするかを選ぶ一つの基準と言えます。

USAG 1/4sqロータリーラチェットハンドル

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イタリアのUSAG(ウーザック)のロータリーラチェットは、特に1/4SQがおすすめです。

プロクソンのロータリーラチェットをはじめ他メーカー品よりも圧倒的にコンパクトなロータリーラチェットで、プロクソンと同じプッシュリリースが搭載されていてもヘッドもコンパクト、全長も短くてロータリーラチェットとしてだけでなく1/4SQショートラチェットとしても扱いやすいと思います。(グリップエンドの1/4SQ穴はありません)

ちなみにフランスのFACOM(ファコム)でもほぼ同型のロータリーラチェットが設定されているのですが、なUSAGの方がリーズナブルに市場へ出回っていてお買い得なのでこちらを紹介しました。

DEEN クイックツイストラチェット

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日本メーカーのDEEN(ディーン)が2018年に発売したロータリーラチェットは、従来のロータリーラチェットの機能をより生かした設計です。

一番の特徴はラチェットヘッド部分で、ドライブが固定されておらず、六角穴でビットラチェットのようになっております。

ここに1/4SQ、3/8SQ変換アダプターを装着することでそれぞれのソケットを付け替えることができます

クイックツイストラチェット本体はPROXXONの3/8SQロータリーラチェットのサイズ感に近いですが(価格も近い)、この本体だけで1/4SQと3/8SQを兼用できるためお得です。またPROXXONと同じくグリップエンドに1/4SQ穴があって延長も可能です。

さらにソケットだけでなく変換アダプターを外して直接ドライバービットも使えるので、一本で三役の働きが期待できます。ここまでボルトと回すための話で進めてきましたがプラスねじやキャップボルトにも同じ機能で使えることが大きなメリットとなっています。

差し替え機能がある兼ね合いでPROXXONやUSAGのロータリーラチェットのようなプッシュボタンや切り替え機能は省かれています(左右の切り替えは本体を裏返して変換アダプターを付け替えます)。

この点が面倒と感じるかどうかで他メーカー品を使うかを考えてよいと思います。個人的にはソケットやドライバービットの差し替え機能がデメリットを大きくカバーしていると思います。

まとめ

・ロータリーラチェットはスタンダードラチェットよりも効率よくボルトを早回しできます。ハンドルが振れない場所でより効果を発揮します。
・エアーラチェット、電動ラチェットと比較した際に、低コスト、コンパクトサイズで早回し機能が使えます。
・各メーカーの機能(サイズ感、差し替え機能)でより使いやすいものを選んでください。。